PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

【コンセプト】
人間が消えてしまった東京を舞台に繰り広げられる、動物達による弱肉強食のサバイバルゲーム！！
とてもシンプルかつ魅力的な、素晴らしい発想だと思います。
これだけで、購入を即決しました。

【ストーリーの提示方法】
マップ上に落ちているアーカイブを集めることにより、人類消失の謎に迫っていきます。
ストーリーの内容はともかく、新聞記事・掲示板の書込み・日記等、色々な種類の情報が”非時系列”に沿って少しずつ明らかになってゆき、それらを組み合わせて、人類にいったい何が起こったのかを推理するのはとても面白かったです。

BAD/REQUEST

【とにかく忙しい】
空腹ゲージが、本当にアッという間に減っていきます。
これが無くなると次は体力が減っていくので、餓死を防ぐために、常に食料を探し続けなければなりません。
人類のいなくなった街を色々と散歩しよう・・・なんて”まったり”やっていると、あっという間に死んでしまいます。
マップを楽しむ余裕は、ほぼ皆無です。
結局、２０時間ほどプレイしてクリアもしましたが、どんな建物が在ったのかなど、ほとんど記憶に有りません。

【システムのバランスがシビア】
上記の”忙しい”を含みますが、とにかくバランスが厳しすぎます！！
スモッグに関しては多くの方が指摘していますが、それ以外にも
・ある程度システムを把握していても一発死する。
・動物育成の為のミッション、動物アンロックミッション、衣装アンロックミッション、様々なミッションが有るが、発生が重なった場合、時間制限の関係上ほとんどの場合はクリア出来るのは一つだけ。（衣装アンロックミッションの発生はランダム、逃すと次に発生するまで延々やり直し）
・慣れてくると１プレイに軽く１時間以上かかるが、セーブが自由に出来ない。
・全体マップで表示される餌の量をたよりに移動しても、そのエリアに着いたときには無くなっている時がある。もしくは、腐っている時がある。（食べられるが、ポイズンゲージが上昇する）
・一度狙われると、そばに他の獲物がいても、きっちりプレイヤーを狙ってくる。
犬でプレイしていた時に、狼に襲われ、近くにいたウサギの群れを突っ切ったが、目もくれませんでした。（死体が有れば、そちらに向かう動物はいる）

全体的に、運の要素が強すぎる、納得のいかない理不尽な死に方が多いです。
別に自分の操作や思考が悪いわけではないので、対応のしようが無く、改善出来ない為に次のプレイに生かせません。
このゲームをトルネコやシレンに例える人がいますが、似ているのは”死んだら最初から”という部分だけで、アクションゲームなのでじっくり熟考できなかったり、選択できる行動が狭いことから、そこまでのゲーム性は無いと思います。

【動物の種類】
草食・肉食・小型・大型と種類は多く、確かにパラメーターも異なりますが、プレイ内容・攻略方法自体は、ほとんど変わりません。
例えば、大型動物はビルに登れませんが、中型動物以下は登れてしまうため、小型のポメラニアンなどでビルの屋上に逃げても、ライオンやハイエナ等の中型肉食動物は群れでそのままビルの屋上まで追いかけて来ます。当然アウトです。中型と小型では何も変わりません。
足の速い草食動物で隣のエリアのビルの上まで逃げた挙句に、ライオンの群れがきっちりと追いついてきた時には、さすがにうんざりでした。

これが、小型動物のみ車の下に隠れることが出来る・車の下を潜り抜けれる・柵を通り抜けられる・ちょっとした窪みに隠れやすいとかであれば生存戦略に幅が出ると思います。
また、ガゼルは俊足かつスタミナが多いので、初撃をかわせばほぼ逃げ切れるとか、ライオン・トラは攻撃力は強いが、初撃をかわされるとスタミナが少ないため追いかけられないなどの明確な特徴が欲しかったです。

【意外と高いアクションの難易度】
週に一度とか、たまの休みにゲームをやる、くらいの人にはちょっとアクションの難易度が高すぎると感じました。
完全にゲーマー向けです。（特にストーリーモードラストあたりの戦闘）
「マリオ楽しい〜！」とか言ってる程度の腕だと、下手したらクリアは出来ないかもしれません。
ＣＭやパッケージ等で、ポメラニアンを使っていますが、ライトなゲームと勘違いして、購入してしまう女性とかが結構いるのではないでしょうか？
実際、私の嫁も、久々に面白そうだから、と手に取りましたが、わずか２０分間で６回ほど死んだ為、早々に投げ出しました。

【東京？ＪＵＮＧＬＥ】
実質には、”渋谷・原宿”ＪＵＮＧＬＥ　です。
てっきり、ストーリーの進行によって、新宿・秋葉原・銀座・お台場等でプレイできると期待していました。
個人的には、浄水場で浸ってるワニやカバを見たかったです。

【ストーリーモード】
人類消失の謎ですが、意外とトンデモストーリーで矛盾もあり、結局不明な点も残ります。
見せ方が良かっただけに、残念。
一方、動物が主人公のストーリモードでは、サバイバルモードとギャップが激しく、違和感を覚えるものが在りました。（動物が動物を助けるというのはちょっと・・・）
もちろん、チュートリアルは必要だと思いますが、無理やりストーリーモードを入れる必要は無かったのでは？
ただ、本作品はあくまでサバイバルモードがメインのアクションゲームだと思いますので、初めからオマケと考えればそこまで気にはなりませんでしたが。

【グラフィック】
忙しいアクションゲームということもあり、プレイしている最中は余り気にはなりませんが、決して素晴らしいとは言えません。
特に土佐犬の回しや、ストーリーモード中のイベント時のビルの遠景は、かなり酷い出来だと感じました。
ただ、スタートやランキングの時に表示されるコンセプトアートは、青みがかったトーンも含めて好きです。
マップ的には、もう少し植物に侵食されて、森林化している都市を見たかった気がします。

COMMENT

本当に、”どうしてこうなった！？”と言うしかありません。

このゲームのコンセプトを見たとき、もう少しオープンワールド寄りの世界で、自由に動物ライフを楽しむゲームを期待していました。
しかし実際には、常に時間に追われ、選択できる行動に遊びが無さ過ぎて、想像力を使って世界を楽しむ余地が有りません。

おそらく製作者の意図として「リアルな動物の一生において、捕食と交尾が全てなのだ」ということを表現したかったのでしょうが、あくまでゲームはエンターテイメントだと思いますし、実際の動物の生態から言ってもこのゲームは”リアル”では無いです。
現状では、ゲームとしてはバランスが悪く、リアルでも無い、まさに中途半端としか言いようがありません。

キツイ言い方になりますが、
（エンターテイナーでは無い）”アーティスト”が価値観を押し付けてくる
と感じられるレベルです。

自分は決して「全てのゲームは小学生でも楽しめる程度のゆるいゲームであるべきだ」とは思っていません。
硬派なゲームや尖ったゲーム自体を否定しませんし、寧ろ積極的に評価するほうです。
ただ、このソフトは買ってくれた人に対して、楽しんでもらおうとする配慮が余りに欠けていると感じました。
イメージ（販売）戦略として可愛らしいポメラニアンを前面に押し出しているだけに、尚更、硬派な内容とのギャップが気になります。
製作者が本当に作りたかったのは、サバイバルモードだったとしても、せめてもう少しまったりと楽しめる、アクションも簡単な初心者用のモードが有れば、評価はかなり異なったでしょう。

量販店で購入すれば４０００円くらいで買えるソフトなので、約２０時間ほど楽しませてくれれば十分満足だったのですが、自分はほとんど楽しめない苦痛の２０時間でした。
このソフトが、１２００円のＤＬ専用ソフトなら、正直問題無かったと思います。

ＢＡＤがとても多くなってしまいましたが、コンセプト自体は非常に優れているので、続編の製作を強く希望します。
次回作では、是非とも食物連鎖のエコシステムを実装して欲しいです。
・降雨→植物の成長→草食動物増加→肉食動物増加
・大型の肉食動物が増えすぎると、餌となる草食動物の減少から共食い・餓死したり、餌を求めてエリア移動を行う
・時間経過によってマップのオブジェクト（車やビルなど）の荒廃が進む
また、難易度を変更できるようすれば、本当に万人にお勧めできるゲームになる可能性を秘めていると思います。

これから購入を考えている方は、ほぼ全てのレビュアーが
「人を選ぶ」
と述べていることに、留意してください。