【PS3】スリーピングドッグス 香港秘密警察
発売元 | スクウェア・エニックス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2012-09-27 |
価格 | 7980円(税込) |
レーティング | 【Z】18才以上のみ対象 暴力 犯罪 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:オープンワールドアクション ■ プレイ人数:1人 |
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発売元 | スクウェア・エニックス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2012-09-27 |
価格 | 7980円(税込) |
レーティング | 【Z】18才以上のみ対象 暴力 犯罪 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:オープンワールドアクション ■ プレイ人数:1人 |
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GOOD!
何にも増して香港という舞台を持ちだしたことが大きい。「シェンムー」や「クーロンズゲート」などビデオゲームで重要な(かつ異質な)作品の舞台としてたびたび出てくるが、その系譜の最新版であり、ゲームの完成度としてはそれらの中で最高のものと言える。
上の二つは香港返還前を舞台にした作品だが、本作は返還後の現代の香港の風景を緻密に描いている。露店がひしめく場所、電線が乱雑に配線される路地、そしてあの漢字のネオンがひしめく街のグラフィックを見る快感というのが大きい。
本作がベースにしてるGTAシリーズが映画のエッセンス(というか、ほぼパクリみたいなもの)を持ち込んでいるやり方でミッションのゲームデザインをやってるけど、そうしたゲームデザインのスタンスによって、歴史的な香港映画のブルース・リーからジョン・ウー、「インファナル・アフェア」までの過去から現在までのエッセンスを落とし込んでいる点が優れている。
そのエッセンスが凝縮されているのが、格闘から銃撃戦に至る、スローモーションやエフェクトを生かしたアクションの快感原則を増幅させる演出であり、この点においてGTAの個別のアクションのつまらなさをはるかに超えている。「障害物を乗り越えて敵を蹴り倒し、そこから武器を奪いスローモーションの中、一気に周りの敵を撃ち殲滅させる」なんてシーンを操作することが可能なのだ。
あとささいなことなんだけど、敵を追いかけっこする時のパルクールアクション、あれで柵を越える、壁をよじ登る、高いところから着地するときにローリングして受け身など、きっちりアクションボタンをタイミングよく押さないとスムーズに登らないなどの仕様はよかった。アサシンクリードのアクションボタン押しっぱなしでポンポンどこでも進んじゃうっていうのはまったく面白くないと思ったから、こういうリスクが加味されたほうがずっといい。
BAD/REQUEST
このゲームのクオリティのかなりの部分を保証してるのはGTAルールのオープンワールドの流れを徹底的に踏襲していることなんだけど、面白いものでGTAに忠実であればあるほど、メインミッションなど遊んでいて「ここ香港なんだっけ・・・」という気分になっていくという。出てくる登場人物は見事にアジア的であるというのに。
なので、GTAの構造を超える期待があったのは「警察とトライアドをまたにかける潜入捜査官」という背景だったのだけど、ところがこれがミッションをクリアする際のスコア程度の働きしかしなかった。ミッション中に車ぶつけたり公共物壊しちゃったりすると警察のポイントが下がるという減点制で、敵を倒す、残虐な倒し方をするなどでトライアドのポイントが増えるという加算制、って潜入捜査の微妙なバランスは生かされないのかよ!
なのでその背景があくまでスパイス程度にしか生かされなかったというのが不満であると思う一方、こうしたメインストーリーの背景をゲームシステムに全開にした場合オープンワールドである必要性ってのは無くなるケースがいくつか見られ(「LAノワール」「prototype(日本未発売ですが)」などを思い出してみてください)、本当にストーリーや背景を優先させると広大な街の意味が無くなってしまう。ただこれは「スリーピングドッグス」の問題というよりかは、オープンワールドの問題ではあるけど。
麻雀ポーカーの糞さ加減から、「北米の人達は麻雀のルールを知らないのではないか。だからこんな処置なのではないか」という仮説を思いつく。「同じ牌が5枚の役」は笑った。
COMMENT
極めて香港的な要素を落とし込めている一方で、GTAが作り上げた構造があまりに強く、安定した出来である一方で香港という場が持っている違和感・異質さといったものがスポイルされてしまっているという部分もある。(これを「香港返還後の現代香港映画が、その環境変化によって異質さといったパワーが無くなった」と照らし合わせてもいいんだけど、別の話で)
制作したユナイテッド・フロント・ゲームズはカナダのゲーム会社で向こうのオープンワールド制作のメソッドも熟知しているといっていい、達者なところが作っているゆえに、かつての「シェンムー」や「クーロンズゲート」的な、香港の異質さに忠実だった作品のような歪んだ部分が薄い。香港を舞台にしたゲームの中で随一の完成度があることに疑いはないが、伝説的に語られ続けるような異様さが足りないのも確かだ。
変な話、本場の北米の開発ではない「完成度の低いオープンワールド」みたいなのが見たかった、というのもある。一応例えを出すと、セガの「龍が如く」みたいにGTAルールは「都市を再現」までで後は俺ルールの歌謡曲にしちゃったのもあれば、グラスホッパー・マニファクチュアの「ノーモアヒーローズ」みたいな「特に意味はないが主人公が生きる街として」ということで存在している、みたいな。オープンワールドのメソッドのない日本の以上の作品こそ、ハリウッドと別のルールで動く香港映画みたいなずれだろ、という感じのルール無視っぷりというか。
なにを言わんかといているかというと、GTAルールともうそろそろ別に、広大な都市を生かしたオープンワールドは可能なのではないか、という思いがあり、GTA?日本発売からそろそろ10年、もう変なレースしたり集め物したりは違うんじゃないかなという気がする。それを求めるのはもう一匹の犬「watch dogs」に任せるべきなのか?