【PS2】機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V
発売元 | バンダイナムコゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2009-02-12 |
価格 | 6800円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:戦略級シミュレーション ■ プレイ人数:1人 |
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発売元 | バンダイナムコゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2009-02-12 |
価格 | 6800円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:戦略級シミュレーション ■ プレイ人数:1人 |
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GOOD!
・オリジナリティー … 5ポイント
本作『アクシズの脅威V』単体のオリジナリティーということで言えば、0点です.なにしろ十年前のPS版『ジオンの系譜』とほとんど何も変わっていませんから.しかし『ギレンの野望』というシリーズを通してのオリジナリティーを評価するなら、間違いなく満点になります.
このシリーズがガンダムファンを惹き付けてやまないのは、エースパイロットを強力なMSに載せて戦場に送り出した時の凄まじい活躍ぶりと、それだけでは侭ならない全体の戦局とのバランスが絶妙だからでしょう.アムロ×ガンダムで戦術マップ上の劣勢は一気に引っ繰り返せるわけですが、戦略的にはジムを量産しなければ押されてしまう.また、せっかくジムの大軍を送り込んでも、ララァ×エルメスに出くわすと壊滅的な損害を免れない.つまり、普通の戦略ゲームであればバランスが悪いと批判されるような偏った状況が、いかにもガンダムらしく再現されているわけです.
ガンダムものに限らず、物語や歴史が構築したドラマチックな偏りを巧みに表現し得たゲームというのは、『ギレンの野望』シリーズ以外にはほとんど見当たりません.このシリーズより出来の良いSLGはいくらでもありますが、熱心なガンダムファンならば、このシリーズ以上に楽しめるSLGを見つけることは難しいでしょう.
・サウンド … 3ポイント
特筆するほどではありませんが、なかなか良い曲が揃っています.
同じBGMを延々と聴かされるわけですから、曲の出来が良いのは有難い.
・熱中度 … 4ポイント
熱中というのとは少し違いますが、ガンダムファンならいつまでもやり続けてしまいます.
なにせ前作の『ジオンの系譜』は十年も遊び続けたんです.本作も十年くらいはイケるでしょう.
・快適さ … 3ポイント
PS版に比べていくらか痒いところに手が届くようになりました.たとえば、艦船に搭載していたMSを発進させる際に三部隊をまとめられる、敗色濃厚な場合は敵が退却する、水中用以外にも潜水艦を攻撃できるユニットが増えた、等々.
ただ、10年にもわたってユーザーが様々な要望を寄せ続けたにも関わらず、この程度しか改善されなかったのか、という気も……
それでも3ポイントを進呈するのは、ローディングやセーブ時間がPS版よりもずっと短くなったからです.この手のゲームでは、「快適さ=待ち時間の短さ」と断言できるくらいに重要な要素です.
BAD/REQUEST
・グラフィックス … 0ポイント
前述の通り、本作は10年前のPS版『ジオンの系譜』とほとんど同じです.実質的には10年を経て発売された拡張パックに過ぎません.ただ、このシリーズは一度システムを一新して大コケしたことがありますから、名作の誉れ高いPS版に余計な手を加えなかったのは大正解だったと言えるでしょう.
しかし、グラフィックスまで10年前と同レベルというのはいくらなんでもひどい.大画面液晶でプレイすると、MSのふちがギザギザしているのがハッキリ判ります.こんなに劣悪な画質の新作ソフトは他にないかもしれません.しかも恐ろしいことに、劣悪なのは画質だけではないのです.
まず、PS版では素晴らしい出来のイベントアニメがたくさん用意されていたのに、それが全て削除されている.のみならず、アニメのかわりにイベントシーンで挿入される静止画の多くが、なんとPS版のアニメの1カットをそのまま切り出して流用したもの.これを劣化と言わずして、何と言うのでしょうか.
新作のイベントカットも作画が素人レベルで見られたものじゃない.おまけに絵柄が統一されていないため、イベントごとに同じキャラでも別人のように見えます.
通常のキャラグラフィックにも問題があり、ZZのキャラクターなどはデッサンが狂っているという始末.さらに、何人かのキャラクターは絵柄どころか画質まで不統一で、ボヤけて見えるのだから凄い.手抜きにも程があります.
「ゲームの面白さとグラフィックスは関係ない」なんて言われたりもしますが、それは最低限の仕事をしていればの話です.10年前より劣化したグラフィックスで、据え置き機のフルプライス商品にするというのは、なんぼなんでもユーザーをナメすぎでしょう.
・満足感 … 2ポイント
ビデオゲームにおける「満足」とは何かを考えた時に、そのソフトを長いあいだ楽しんでプレイできれば「満足」であるとするなら、本作の満足感は素晴らしいです.続編が出るまで何年でも遊び続けるというユーザーは自分だけではないと思います.
しかし、こちらがどれだけ楽しめたかだけでなく、作品そのものの出来ばえや商品としての妥当性までを「満足」の定義に含めるとしたら、本作はまったくどうしようもないソフトと言えます.満足感は皆無と言ってもいい.
10年前から映像もシステムも何一つ進歩していない、それでいて値段だけはご立派な手抜き商品を、しかし他のどんなゲームよりも優先して熱心に遊び続けているというこの矛盾……
COMMENT
『アクシズの脅威V』は極めて特殊なゲームソフトです.ただし、次の項目にあてはまる人ならば、購入しても損はないと断言できます.
(1)前作『ジオンの系譜』を、発売当時からつい最近に至るまでプレイし続けていた.
(2)前作に対する最大の不満は、キャラクターやMSがZ時代までしか収録されていない点である.
(3)なんとしても据え置き機で遊びたい.
(1)に該当していれば、どうせ今回も何千時間と遊び続けるはずです.つまり、イベントや戦闘シーンをスキップするようになってからのプレイ時間の方が遥かに長くなるはずなので、画質やムービーの問題はすぐ解消されます.
(2)については、もし前作への不満がシステム回りに関するものであって、キャラやユニットの増加にあまり興味を見出せない場合、前作を遊び続けた方が良いということです.
(3)は――明らかにPSP用に開発されている本作をPS2でプレイするのは、携帯ゲーム機が嫌いな人だけだと思います.
この3点をクリアしたユーザーにとっては、『アクシズの脅威V』ほどお得なゲームはありません.かつて『ジオンの系譜』を僅か5800円で580万円ぶんくらい遊び倒したのと同じように、本作も半永久的な娯楽ツールとして機能し続けることでしょう.